新しい生活様式とこれからの健康経営

新型コロナの感染拡大は、今でも私たちの生活やビジネスに大きな影響をもたらしています。その影響を少しだけ俯瞰して捉えてみると、必ずしもネガティブなものだけではなく、ポジティブなものもあるように感じてきました。

例えば、コロナ禍で推奨された「在宅ワーク」や「時差出勤」の実践は、多くの企業が足踏みをしていた働き方改革をいやおうなしに後押しすることになったのではないでしょうか。コロナ禍での火急の対応だったとはいえ、実践したことは企業全体の経験値となり、実践し続けていくために必要な課題を企業と社員とが共有できたことは、これからの健康経営を推進していく原動力になるものと期待されます。

健康経営は、「従業員の健康管理を経営的な課題として捉え、戦略的、かつ計画的に取り組む経営手法」と位置付けられています。新型コロナの感染拡大は、職場での感染拡大防止策を手探り状態の中から講じることを求められ、しかも、これまでの健康管理の主流であった「産業保健スタッフの活用」「社内研修」「管理職によるラインケア」「健康診断」といった既存の対策をそのまま利用できないという予期せぬものだったといえます。予期のできない未経験のものに、私たちは不安を感じ、必要以上にエネルギーを消耗してしまいます。心身に不調をきたしてしまったことも自然な反応のひとつだったといえるでしょう。

これらの経験値をもとに、これまでの固定観念に縛られ過ぎない“これからの健康経営”を戦略的、かつ計画的に考えていくことが求められています。もしかすると企業の枠を越え、社会全体で取り組むべき課題もあるかもしれません。コロナ禍で見出された新しい生活様式をこれからの健康経営の足掛かりにできるかどうかは、私たち次第です。

(筑紫女学園大学 准教授)

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