健康経営における禁煙の取り組み事例

 5月31日は世界禁煙デーである(らしい)。職場の健康管理および健康経営において、禁煙対策は欠かせないものであることは疑いようもない。しかしながら、むしろそれゆえにと言ってもいいかもしれないが、私自身は個人の禁煙支援に対してはやや消極的な立場をとってきた。なぜならば、究極的には就業時間内禁煙さえ企業側の裁量で達成してしまえば、少なくとも就業に伴う非喫煙者に対する受動喫煙は解消することができる。一方で、喫煙者に対して、就業時間以外における、いわばプライベートでの喫煙に対してまで企業が口出しすることは、控えるべきであろうとの考えもあった。

 もちろん、「本当は止めたいのに、止められない」社員を支援することはやぶさかではない。それゆえ、医学部学生に対する禁煙指導実習の実施という形も含め、禁煙指導者の育成には一定程度関与してきたし、企業内においても保健指導者のリソースに余裕がある限りにおいて、希望する個人に対する禁煙指導の提供は推奨してきたといってよい。とはいえ、これらのアプローチでは、結局のところ、「まったく止める気のない」喫煙社員と、「どうにかして社内の禁煙環境を進めたい」非喫煙社員の溝を深めかねない側面もなかったとは言えない。

 そこで、今回、試行において喫煙者からも非喫煙者からも、「まあまあ」の評価をいただいた方法をご紹介したい。前回のコラムで言及した行動経済学理論の保健対策への応用の具体例でもある。古くは、禁煙ポスターといえば、喫煙者を怖がらせて(肺がんで真っ黒の肺などの写真を用いて)、禁煙させようというものもあった。しかし、「恐怖へのアピール」は効果がないことがわかってきている。そこで、「感謝」の感情にアピールする連続ドラマ仕立ての4枚セットの禁煙ポスターを作成した。現時点ではまだネット上で閲覧できる状態にはないので、実物にご興味がある方は、日本家族計画協会まで問い合わせて欲しい。 

新しいアイデアにもとづく禁煙ポスターに関する問い合わせ先:

日本家族計画協会(担当:堀 hori@jfpa.or.jp)

http://www.jfpa.or.jp/outline/inquiry.html

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健康管理の課題への二つのアプローチ