健康経営に関する普及・啓発活動は、首都圏・近畿圏などにおいては加速度的に進んでおり、実践の場へと移行しつつあります。このような背景には、各省庁の施策が後押しとなっているだけでなく、健康経営がもたらす付加価値に多くの企業・団体が理解を深め、更なる期待を寄せていることがあげられます。
一方、九州における健康経営の認知度は残念ながらまだまだ低く、「健康経営」の情報が的確に伝わっていない可能性があり、健康経営に取組んでいても社会的評価を受けられていないケースや、なんとなく健康経営を意識しつつも積極的に取組めていないケースがあります。例えば、九州のある企業を訪問したところ、こちらの企業では「健康経営」という言葉はご存知でなかったものの、「社員食堂でのヘルシーメニューの提供」や「社員の元気さと明るさを向上させる取組み」、「地域との交流」など、先駆的ともいえる健康経営の取組みを実践されていました。このような企業に「健康経営優良法人認定制度」などの表彰制度の情報が伝われば、九州、福岡においても多くの表彰団体が生まれるのではないでしょうか。また、今まで取組めていなかった企業経営者や人事労務担当の方々に健康経営の基本的な考え方から具体的な推進方法まできちんとお伝えすることができれば、健康経営の推進が経営基盤強化に効果的な取組みであることをご理解いただけると思いますので、当然、健康経営実践の企業・団体も増えていくのではないでしょうか。
九州、福岡における健康経営の推進状況が首都圏・近畿圏に及んでいないように感じる理由の一つに、「健康経営」をキーワードにした地元企業間の連携が十分でなかった可能性があるようです。首都圏では多くの民間企業が主体的に健康経営に取組むための情報共有の場を設けて、企業間での健康経営に関する協議、研鑚に努められています。九州、福岡においても、地元企業間で共有されれば、より身近な健康経営の取組みとして受け入れられ、自発的な推進を促すことにもつながりますし、九州、福岡に適した健康管理や労務管理の課題に関するソリューションも導き出されるのではないでしょうか。
このような健康経営に関する情報提供や健康経営をキーワードにした地元企業間での連携は、「健康経営」=「首都圏の大手企業の取組み」、「健康経営」=「本社がやるもの」というような認識を薄らげ、健康経営の取組みへの1歩がなかなか踏み出せていない、踏み出せない「小・中規模事業所」や「支社、支店、営業所」の背中を後押ししてくれるはずです。
九州・福岡健康経営推進協議会では、九州、福岡の地において健康経営が一つでも多くの企業・団体に認知され、健康経営の実践への1歩を踏み出すことにつながり、「元気な九州」そして、「九州の経済発展」に微力ながら貢献していきたいと考えております。